はじめに

在留外国人数が307万5,213人と過去最高数を記録しました!(令和4年末)

少し前までは中国籍の人がとても多かったのですが、最近は多国籍化しています。日本で暮らす外国人から見た日本の暮らしは、本当のところどうなんでしょう?ここでは、外国人目線で「感じていること」を見ていきたいと思います。

参照資料:出入国在留管理庁
外国人との共生社会の実現に向けた取組

どのように多国籍化しているか

2010年時点で、中国・韓国が約6割、ブラジル・フィリピンが約2割、タイ・ベトナム・インドネシアの割合はかなり少ない状況でした。米国も約2%ほどでした。

約10年後の2021年では、中国・韓国の割合が約4割に下がりました。ブラジル・フィリピンは大きな変化はありません。米国も同様です。一方で、ベトナムがかなり増加し、ネパール・インドネシア・タイが増加しています。

多国籍化が進むと、それぞれの国の習慣や文化が見えてきます。例えば、1日に何度もするお祈りの習慣とか、ヒジャブ(頭を覆うスカーフのようなもの)の着用とか、豚肉NGまたは牛肉NGなどがありますね。

背景の違うさまざまな国から来た人たちですが、日本での生活をどう感じているのでしょう?

生活環境をどう感じているか?

日本の生活環境の満足度(令和3年度)は、満足している(47%)どちらかといえば満足している(40.8%)と87.8%もの人が「満足」と感じているようです。上の表からも分かりますが、令和2年度よりも微増しています。

ですが「満足していない」と答えている外国人が12.2%います。全体の約1割ですが、生活に満足できないのはどんな理由があるのでしょうか?その1つとして考えられるのは、日本語力です。

生活に満足しているか?

日本の生活に満足している外国人は、日本語力が高いようです。会話もでき文章も読める人たちは、日本社会に適応できます。日本社会のシステムが分かるので、困惑することが少ないでしょう。

ですが、日本語ができない外国人は困惑する場面が多くなります。緊張しますし、ストレスも溜まりやすくなります。生活の満足度は低いままになってしまうでしょう。

下の表からも、日本語力と生活の満足度がほぼ比例していることが分かりますね。

外国人が日本で楽しく生活するカギの1つは、「日本語力をアップすること」と言えます。

知りたい情報はなにか?

税金・年金・社会保険は、日本に住む外国人も支払う必要があります。海外のシステムと違うので、知っておく必要があります。医療・福祉・労働・雇用に関する情報も重要です。住民登録は外国人もしなければなりません。

日本人にとって難しい手続きではありませんが、外国人は「公的機関」での手続きを難しいと感じます。なぜでしょうか?

行政の対応をどう思っているか?

外国人は情報をもっと知りたいのに、公的機関の「多言語の情報発信が少ない」と感じているようです。これはちょっと残念です。なので、もっと行政に関する重要な情報を「多言語」で発信することが必要です。ウェブサイト・アプリ・出版物・パンフレット・施設内の掲示物などの多言語対応を充実させていきましょう。

また、外国人とのコミュニケーションで「やさしい日本語」を使うことが推奨されています。同じこと(内容が同じ)を言うのに、わざわざ難しくて回りくどい表現を使う必要はありません。一つの文章を短く切り、簡単な言葉に言い換えて、意味が分かりやすい言い方に変えましょう。

外国人に必要な情報が「多言語対応」されてないと、外国人は公的機関で手続きをしたいのに「一体どこに相談したらよいのか分からない」という事態が生じてしまいます。

病気になった時に感じることは?

病気になって病院に行った時、「病院の検索方法が分からない」「症状を伝えきれない」「受付で話せなかった」と感じています。

母国と違う日本の病院のシステムが、最初は難しく感じるかもしれません。行政や病院から外国人向けに医療を受けるために必要な情報を「多言語」で発信していれば、ずいぶんこの問題は解決されます。

ですが、外国人自身の日本語力アップも必要です。病院スタッフと外国人のコミュニケーションがスムーズなら、困惑する状況はほとんどなくなるでしょう。また、病院の検索も自分で行えるようになるでしょう。

さみしいと感じているか?

「常にさみしい、ときどきさみしい、たまにさみしい」は約5割、「人とのつながりがほとんどない」が約6割もいます。

約半数の外国人が「孤独」を感じています。彼らにとって日本は外国ですから、仕方のないことです。慣れない外国で知り合いや友達が少ない状況では、寂しく感じるのは当たり前のことです。

ですが、楽しく日本で生活するためのカギとなるのは、日本語力のアップです。人間ですから、言葉でのコミュニケーションが必要です。国籍の違う外国人同士であっても、お互いに日本語でコミュニケーションができれば良いでしょう。

下の表からも、日本語の会話がほとんどできない人ほど「孤独感」を感じやすいことが分かりますね。

おわりに

外国人はおおむね日本の生活環境に満足しています。日本語の勉強も頑張っていて、日本社会に適応しています。一方で、日本語が分からないので「何をどうしたら良いのか」困惑したり、寂しさがつのってしまう人もいます。

外国人が自分で頑張らないといけないこともありますが、受け入れ施設・企業・公的機関が「多言語」で十分な情報を発信してあげることで、外国人仕様に「体制」を整えてあげることも必要です。

日本の人材不足は深刻ですから、今後も外国人は増えてゆくでしょう。上手に対応していきましょう!